maneo本体で2018/11/1に以下の2つの延滞が発生しました。
1.事業者EO社向け太陽光開発案件の事業性資金支援ローンファンド
2.不動産事業者CU社向けの不動産担保ローンファンド
ソーシャルレンディングを続けていく以上、延滞、デフォルトのリスクは避けて通ることはできません。
今後に生かすためにもmaneoの延滞の事例を振り返り、投資家としてのリスク回避方法を学んで行きたいと思います。
前回は1つ目の「1.事業者EO社向け太陽光開発案件の事業性資金支援ローンファンド」について見ていきましたが、
今回は2つ目の「2.不動産事業者CU社向けの不動産担保ローンファンド」について見ていきたいと思います。
前回記事[maneoの延滞から学ぶリスク回避方法(1/2)]
不動産事業者CU社向けの不動産担保ローンファンドの延滞
案件スキーム
maneoが事業者C(maneo関連会社のリクレ)を経由して、不動産事業者CUに対し、土地・建物の仕入資金を融資するスキームとなっています。
案件の特徴は以下の通りです。
・1,000億円突破記念、1,100億円突破記念と銘打ったファンド
・神奈川県川崎市の土地、建物の評価額約16億円(業者買取価格)
・募集額12億円を2億円ずつ分けて第1順位~第6順位までの順位をつけて募集
・売却代金が12億円未満だった場合には第6順位から元本が毀損する。その分利回りは順位が下がるほど高い。第1順位と第6順位の差は1%
募集時点の情報から本案件のリスクを読み解く
募集時点の情報から本案件のリスクを読み解いてみます。
土地、建物の評価方法が「業者買取価格」となっています。maneoの他の案件概要を見ると評価方法にはTAS評価、収益還元評価、販売予定価格、業者ヒアリングなどがあります。
業者買取価格はその名の通り、その不動産を貸付先の業者が買い取った価格になります。
「業者買取価格」とは、文字通りCU社が不動産を買い取ったときの価格になります。言うなれば業者の言い値でmaneo自身は担保物件の評価を行っていないことになります。
他にも評価方法があるのにあえてなぜ「業者買取価格」をホームページに記載したのかが疑問に残ります。他の方法では評価できない、または評価額が担保としては不足してしまうという事情があった可能性もあります。
当初から12億円未満で販売される可能性を案件に織り込んで第1順位から第6順位と順位付けして募集しています。
12億円未満で販売されるリスクを投資家にきちんと伝えているとも言えます。
本件は2018/2/7に募集されましたが数か月後の5月25日にすでにCU社からC社に利息が払われていないという事実があります。また、11/9にTSR情報部が該当不動産は診療所跡地で、maneo、リクレ社は売却に難航しているとの取材結果を公表しました。
ネット融資仲介「maneo」の組成ファンドが返済を延滞、元本割れの恐れも
これらより、12億円以上での売却ができない可能性があることをmaneo、リクレとも初めから分かっていたと考えられます。
今後のリスク回避方法
・〇〇億円突破記念ファンドと銘打っていたとしても、踊らずに冷静に案件のリスクを見極める。
・担保評価方法を必ず確認する。
・担保評価方法が業者購入価格、販売予定価格など貸付先からの情報である場合は、客観性にかけるため、投資家としては評価額の妥当性の判断が難しい。
・シニア、メザニン等、募集に優先劣後がある場合は、利回りと元本毀損リスクを天秤にかけ、利回りがリスクを上回ると判断できる場合のみ投資する。
・万一貸付先の1社が延滞、デフォルトした場合でも全体への影響がないように、貸付先を分散する。
最後までお読みいただきありがとうございました。